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基本、自分日記です。

美の旅人 フランスへ

美の旅人 フランスへ

美の旅人 フランスへ

著者のスペイン編に続く著書を読んだ。
一枚の絵を探しに旅に出る、とは羨ましい旅の種類だ。
かく言う僕もフランスを画家たちの跡を追って旅したことや、仕事でフランス各地の美術館を訪ねる旅(この場合、出張)をしたことがある。


こうした体験をした者にとって、この本は旅の足跡の確認でもあった。
33歳の時に会社の研修制度を利用し、英国からフランスのル・アーブル港へ夜、船で入った。以後、主に印象派の画家の足跡を追った。
ノルマンディからパリを経て南仏まで、描かれた場所を中心に独りで旅をした。


この旅がきっかけで、海外の展覧会をつくる仕事をするようになった。
ルーアン、ナント、ボルドー、パリ、ニースは成果が出た土地。モンペリエは苦杯をなめた土地。モネのジベルニー、コローやミレーのフォンテーヌブローなどへも足を伸ばした。


南フランスがいい。冬でも光り輝く青い空がある。
魚介類が美味しい。
シャガール展の仕事をした際に、見つけたニースの隣町「ヴィル・フランシュ・ル・メール」という地中海に面した静かな素敵な街は今のところ一番、気に入った場所である。ずっと佇んでいたい海の街である。コクトーブーダンも気に入ったようだ。



さて、著者は、特に18世紀静物画のシャルダン、夭折の画家・バジールを探し出した旨をあとがきに記している。
僕も何度も訪れたモンペリエで偶然、バジールの回顧展を見る機会があった。
確かに戦争で死ななかったらモネやルノワールを越えていたかもしれないと思った。早い時期に「村の眺め」のような絵が描けていたからだ。

村の眺め―フレデリック・バジー