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台湾映画KANO 「嘉儀農林」甲子園初出場で準優勝

戦前の甲子園に満州、朝鮮とともに台湾代表が出場していて嘉儀農林という学校が初出場で準優勝ということを知ってはいた。台湾でこれが映画化され昨年大ヒットしたというから早く観たかった。日本でも先月封切られた。台湾の先住民、漢民族、日本人の3民族混成チーム「嘉儀農林野球部」こと「嘉農KANO」の若者たちと甲子園に送り込んだ近藤兵太郎監督の物語。嘉儀農林が甲子園初出場した同じ頃に霧社事件が起こっている。小学校1年生時の担任の先生からショッキングなこの事件を教えられ記憶していただけに複雑な日本統治時代を思う。映画KANOは、台湾映画だが至る所で日の丸が振られ、大半が日本語の科白だ。台湾で大ヒットした際も日本統治時代の過度な美化だと批判もあったそうだ。

しかし映画の監督である魏徳聖氏は、日本統治に反発した先住民の抗日武装蜂起(霧社事件)を描いた「セデック・バレ」という作品を2011年に発表しヒットさせている。それ以前には日本男性と台湾女性の60年前の悲恋と現代を描いた「海角七号」もヒットさせている。日本統治時代の台湾と日本の関係をバランスよく掘り起している。大陸との関係を軸に、あの時代から現在の台湾の真実と未来を考えさせる糸口の作品群だと思う。

野球映画は、大勢の観客を背景にするので球場のリアリティが必要だ。その点で映画の中の甲子園での展開は野球を知る者にとって、ややリアリティ不足が残念な作品だ。甲子園出場シーンがやや長すぎると思うが感動の青春映画だ。3時間5分。