NHKハイビジョンで「炎の絆・ゴッホ 兄弟の壮絶なドラマ」を観る
- 作者: 藤村信
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/05/22
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- 作者: 藤村信
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/06/20
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今、読んでいるのは岩波新書のこの2冊。
ゴッホについての知識を得るには好著である。
当時のフランスの画壇、画家たちの相互の関係、世相、ゴッホを取り巻く人間模様の妙。著者は、いろんな視点で気配りをしながら筆を進めている。
仕事で知り合いになった放送局のOBの方からお電話を頂いた。
「今夜、ゴッホの番組をNHKでやりますよ」と。
外にご飯を食べに行く予定を中止して、ピザの宅配をとり番組を観た。
(最近は、録画して後からなんて言ってると結局いつまでも観ないので、リアルタイムに徹している)
テレビはいいよな〜登場人物はたった2人…ゴッホと弟テオだけ。
証言者などの人物は出てはくるが、役者は2人だけ。
あとは、写真や絵画でカバーできる。
取材にフランスやオランダには行ってはいるが、制作予算は、そう大きくはないだろうな。
(吹き替え役の市村正親と萩原聖人のギャラは高いかも)
番組ではフィンセントとテオの兄弟愛が軸に描かれていた。
ゴッホのキーワードを「兄弟愛」「日本」「涙」の3つで捉えてみたい。
とりわけ「悲しみからくる涙」。
他人から理解されない。
革新的、オリジナルな絵でその後、世界を魅了するが、生前に売れた絵は1枚だけという。
ゴーギャンに冷たくされ耳を切る。
その事件を契機にアルルの街人から阻害される。
拳銃で自殺する。悲しいドラマを持った天才画家。
ゴッホ自身に(も)原因がある。自己陶酔の人である。
ゴッホの絵の前に立つと、カンバスにある力強い絵の具の痕跡に魅了される。荒々しい色づかい、筆づかい。だからこそ、ゴッホがいるように思える。絵の前でゴッホと同じ立ち位置なんだと感じられる。
ゴッホの生きた37年を知れば知るほど悲しくなり、涙になってしまう。
支え続けた弟が兄の死後、半年で亡くなるというのも悲劇だ。
ゴッホが自殺したオーヴェルの墓地に兄弟仲良く並んで葬られているのも、この悲劇が永遠に語られるモチーフになるのだろう。
ゴッホが後世、愛されるのはオリジナリティな、ある意味、分かりやすい絵とドラマチックな人生だからだろうか?