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基本、自分日記です。

久々の小説―望郷の道

望郷の道〈上〉

望郷の道〈上〉

望郷の道〈下〉

望郷の道〈下〉

日本経済新聞に連載された北方謙三氏の小説。
男の物語であり、夫婦の物語である。
感動した。

会社の先輩OBがこの小説を元に北方氏を呼んでイベントをやるぞ…と僕にも何か手伝えというような依頼。まずは、小説を読んでみた。
筑豊、佐賀、台湾…が舞台だ。
この小説は、ある意味、経営の書。
起業、組織論、モチベーションなど経営のテキストにも使えるのでは?


【以下、日経のホームページから】
 一代で菓子会社を作り上げた曽祖父母をモデルに、明治の日本人が持っていた成長へのひたむきな情熱を描いた北方謙三さん(61)の『望郷の道』(幻冬舎)が刊行された。「作家として生まれた意味があった」と振り返る北方作品の集大成となっている。 北方さんの曽祖父・森平太郎は、バナナキャラメルや新高ドロップで知られた新高製菓の創業者。台湾で和菓子作りを始め、第二次大戦前には大手製菓会社に育てた。 「小説的な家系というか、相当変わった一家です。4代目に小説家が生まれた以上、父祖に対する責務として、自分の生き方に影響を与えている原点を小説で書くべきだという気持ちがありました」 物語では曽祖父の「正太」は、佐賀で賭場を仕切っていた曽祖母の「瑠(る)イ(王へんに「偉」のつくり)」と結婚し、貸元となるが、もめごとが起き、九州所払いとなる。裸一貫で台湾に渡り、そこで製菓事業を興す。 貸元のときも「無法ば通したらいかん」という生き方を貫き、店を構えてからも商売について、「ほかんこつで、勝負の決まるとは、許せんばい」と不公正を許さない。 「人間として恥ずかしいことをしてはいけないという家訓は今も生きています。資料は少なく、作家としての想像力の中で父祖をよみがえらせている気分でした」 例えば、浮気がばれた正太が家に帰ると、瑠イが夫の着物を日本刀で一刀両断していたという場面は実話だが、九州所払いの真相は妻から逃げて家出をしただけだったかもしれないという。 「画家の叔父がいたのですが、飲んでは没落した家系のあだ花は芸術家だと言い合っていました。彼なら、かっこよく書きすぎだと言うかもしれませんが、大きなところでは間違っていないはずです」 無法を許さず、信念を持って生きる姿は、ハードボイルド作品や中国の歴史物の登場人物たちとも重なる。 「働くことに何の疑問も持たず、身を粉にして働く。それが生きることと思い定めた強さがあった。そこに自分もひかれています。いわば日本人の原型ではないでしょうか」(加藤修)