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基本、自分日記です。

久々に小説を読む

終の住処

終の住処

40代前半の現役商社マンが芥川賞受賞。
しかも中々のハンサム。テーマが不機嫌な妻との結婚生活。
な、訳で珍しく芥川賞受賞「小説」を読んだ。
わずか100ページのなかに、30過ぎで結婚してからのおよそ20年の夫婦が語られている。
小説は、多くの形容詞で心情、風景が綴られることを実感。
些かまどろっこしいが。

2歳の娘を連れて3人で遊園地へ行って以来、11年間、妻と一言も会話をしなかった彼。その間、仕事は曲りなりにも順調、黒いストッキングの女やサングラスの女との浮気も。11年ぶりに妻に言った言葉が「家を建てよう」…荒唐無稽に思えるような夫婦の関係。


「―若いころの営業と接待の日々、上司の罵声、深夜残業、家計のやりくり、赤ん坊の夜泣き、寝不足のまま朝起き上がるときの辛さ、どうしても抜け出すことのできない不倫関係、自己嫌悪、そして妻との、すれ違うばかりの緊張した生活―それらいっさいが、いまでは堪(こら)えられないようもなく懐かしかった。まったく不思議なことだったが、人生においてはとうてい重要とは思えないようなもの、無いなら無いに越したことはないようなものたちによって、かろうじて人生そのものが存続しているのだった。じっさいいまの彼は過去のために生きていた、そしてそれでよいと思っていた。」


娘のアメリカ行きも知らず、夫婦二人だけで終焉の日ま」で、また過ごすことを覚悟した彼。孤独なる人間の様―を読み取ったが…★★★★


ご先祖様のお墓参りの行き帰りに、この小説を読んだ。
先祖との繋がりの墓参りだ。