旅 街 人 美

基本、自分日記です。

444ページのルポルタージュ

東電OL殺人事件

東電OL殺人事件

1997年3月東京電力の39歳の女性社員が殺害された事件を扱った佐野眞一ルポルタージュ
昼はエリートOL(総合職で慶応大卒)、夜は売春をしていた女性だったため、センセーショナルに伝えられていたのを記憶している。
加害者とされたのが不法に国内に滞在していたネパール人だったこと。
彼が一貫して無実を訴えていたこと。それも記憶していた。
事件の経過、彼女のそうした行動の闇の部分、裁判の行方などについては知らなかったため、出版されてもう9年近くになるが読んでみた。

著者の調査、推理、検証からは加害者のネパール人は明らかに無罪…と思いながら読んでいた。最後に1審は無罪とあって、読み手はほっとした。しかし、調べてみたら2審は有罪無期懲役最高裁も2審を支持。今、彼は12年の服役中ながら無罪を訴え再審請求をしている。


一方で、あのような行動をした被害者の心の闇。察しきれないが、その生い立ち、環境。とりわけ尊敬する最愛の父親を早くに亡くした彼女の心の揺らぎ…堕落へ突き進む「自己処罰」?そんなことが人間に起こりうるのだろうか?と驚愕する。奇怪なこの事件のせいで、裁判の証人や取材の対象として登場させられた多くの人物は身近にいる人たちと何ら変わらない。だが、それぞれ人は背負った物語があることを知らされた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E9%9B%BBOL%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

【追記】4月3日
先日、出張の打ち合わせ先が現場近くだったため、打ち合わせ前に足を運んでみた。被害者が殺害された喜寿荘、逮捕服役しているネパール人が住んでいた粕谷ビル。いずれも事件から12年経っているものの、今も人の息遣いが残る。京王線神泉駅の目の前だ。渋谷の谷の底だ。
佐野氏のルポを読むと、現場を観たくなってしまったのだ。
 【喜寿荘】 
まん福亭もある。今も人が住んでいる。神泉駅出たら目に入る近距離。
 【粕谷ビル】
ネパールの人たちが暮らしていた粕谷ビル 喜寿荘とは背中合わせの位置だ