今週の読書
- 作者: 圭室諦成
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1960/04/18
- メディア: 新書
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今月は「西郷隆盛」。
この本を読み、維新前と維新後の西郷の落差に納得。藩主・島津斉彬、勝、大久保らの助言で行動した西郷は功績を上げたが、自分の功業への自惚れが突出すると助言者を遠ざけ、鹿児島士族的な狭い視野の子分たちに取りかこまれ有頂天になる。
「慶応の功臣にして明治の賊臣なり」との新聞評は的を得ているのだろう。思想を持たぬ政治家、所詮、見聞が狭い直情径行の田舎侍という西郷評価には驚いた。
一方で薩長連合に関与し、勝海舟との協議で江戸城が無血で明け渡され、新時代を開いた功績は大きい。一時期、薩摩は西郷王国だった。
明治以降の征韓論、西南戦争などの見通しの甘さは、敗れるべくしてのもの。勝海舟は西郷の死を「とうとう不平党のため死んだ。西郷はああいうときには、実に工夫のない男で、知恵がなかったからああなった。なに、あれだけの不平党を散らすのに、わけはないことだ。」と評した。
次は、西郷と対比され悪人のイメージが強い大久保利通を探ってみようか。
尊皇攘夷を巡る一連の事変−安政の大獄、桜田門外の変、8月18日の政変、池田屋事件、長州征伐、禁門の変、薩長連合などなど幕末維新はドラマチックであり、日本における激烈な革命である。