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基本、自分日記です。

今週の読書

西郷隆盛 (岩波新書 青版 378)

西郷隆盛 (岩波新書 青版 378)

月に1冊は「明治維新と九州」をテーマに読書する。
今月は「西郷隆盛」。
この本を読み、維新前と維新後の西郷の落差に納得。藩主・島津斉彬、勝、大久保らの助言で行動した西郷は功績を上げたが、自分の功業への自惚れが突出すると助言者を遠ざけ、鹿児島士族的な狭い視野の子分たちに取りかこまれ有頂天になる。


「慶応の功臣にして明治の賊臣なり」との新聞評は的を得ているのだろう。思想を持たぬ政治家、所詮、見聞が狭い直情径行の田舎侍という西郷評価には驚いた。


一方で薩長連合に関与し、勝海舟との協議で江戸城が無血で明け渡され、新時代を開いた功績は大きい。一時期、薩摩は西郷王国だった。


明治以降の征韓論西南戦争などの見通しの甘さは、敗れるべくしてのもの。勝海舟は西郷の死を「とうとう不平党のため死んだ。西郷はああいうときには、実に工夫のない男で、知恵がなかったからああなった。なに、あれだけの不平党を散らすのに、わけはないことだ。」と評した。

次は、西郷と対比され悪人のイメージが強い大久保利通を探ってみようか。

尊皇攘夷を巡る一連の事変−安政の大獄桜田門外の変、8月18日の政変、池田屋事件、長州征伐、禁門の変薩長連合などなど幕末維新はドラマチックであり、日本における激烈な革命である。