今週の読書―「禅とは何か」
- 作者: 鈴木大拙
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/03
- メディア: 文庫
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「禅とは何か」というよりも「宗教の意義や仏教とは何か」が延々と述べられ、最後のほうで「禅」について鈴木大拙大先生はお話されている。
仏教の基礎知識がないと、中々理解しがたいご本。例えば、「菩薩と羅漢」「大乗仏教と小乗仏教」とは?その関係性とは?などなど。
「禅宗とはこの自覚聖知を修行の中心としているのである。自ら覚る、そして証明する、その知恵が自分にある。その境涯に自分が入る、とうことが自覚聖知である」
「われわれの修行の根本は、だんだんと今まで気づかなかったものに気がついて、そしてわれわれの経験が豊富になって行くということである」
我々が悩める(苦)のは、不満や不平があるからだ。なぜ不平不満があるのかといえば、如何ともしがたい現実(原因)が、外にあるから。自分の内と外にある現実のギャップに悩むのである。自由にならないからだ。
そこに宗教の意義があると。
内と外のギャップを埋めてくれるのが宗教だとも。
仏教は「苦・集・滅・道」という。
人間は生まれながらにして「苦」を背負う、その原因を「集」めて、それを「滅」しなければならない。そのために「道」という修行が必要だ。なかなかに理論的だ。
真宗が阿弥陀の本願にすがれば救われるという情的なもので、多くの人々を魅了するのに対比し、禅宗は日常の修行(坐禅)を通してその人自身を救うという理知的なものだと、言っているような。
何度か読まなければ、なかなかに理解しがたい本である。